事故物件について

事故物件について

2017年09月12日 18:22 投稿

新築を購入後に購入した場所が以前に火災が起き、焼死体が出た場所だと知りました。 重要事項説明にも記載は無く、口頭でも説明は有りませんでした。 また、購入時には火災が起きた建物は無く、更地の状態です。 このような場合は契約の解除もしくは、賠償金の請求は出来ますか。

専門家の回答

2017年09月12日 19:01 投稿

購入前にそのような事情について質問したにもかかわらず説明をしなかったというのでない限り解除事由や損害賠償請求の理由にはならないものと考えます。

鈴木 真由美

経験年数:1年 会社名:株式会社フロネシス
資格: 宅建士
連絡先:m.suzuki@phronesis.link

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専門家の回答

2017年09月21日 10:19 投稿

宅地建物取引業者は、不動産売却を仲介する際、その物件がいわゆる事故物件のような心理的瑕疵を有する物件である場合は、相手方たる買主に対しその旨を告知する義務があります(宅建業法47条1項ニ)。 宅建業者がこの告知義務に違反し、売主が事故物件であることを知りながら買主に伝えずに売買が行われたときは、買主は期待する物件を購入できなかったことになることから、債務不履行を理由に売買契約の解除や損害賠償請求をしたり、不法行為に基づき損害賠償を請求することができます(民法415条、709条)。 とはいえ、どのような場合に物件が心理的瑕疵を有すると言えるかについては法律上明確に定まっていないため、その判断基準は裁判例を参考に考えなければなりません。 ご質問の件に近く分かりやすい裁判例として以下のものが挙げられます。 ◆土地の売買において、17年前に発生した焼死者を出した火災事故は土地の瑕疵に該当しないとされた事例(東京地判平26・8・7) http://www.retio.or.jp/case_search/pdf/retio/98-124.pdf ◆居住目的の土地売買に関し近隣住民の記憶に残る20年以上前の自殺事件等につき媒介業者の説明義務が認められた事例(高松高判平26・6・19判時2236-101) http://www.retio.or.jp/case_search/pdf/retio/98-126.pdf 上記2つの裁判例を含む類似の事件を扱った裁判例から、居住用か事業用か等の買主の不動産の利用目的、家族と暮らすのか単身で住むのかという居住形態、事件建物の有無、事件の重大性・残虐性、事件が発生してからの経過年数、事件の記憶の風化具合に影響する地域住民の流動性等が、心理的瑕疵の程度や告知すべき期間を判断する際の基準を構成する要素として見出されます。 また、裁判例を比較すると、瑕疵の程度や告知すべき期間と上記各要素との間に以下のような相関関係を見出せます。 重い    瑕疵の程度        軽い 長い    告知すべき期間      短い ←――――――――――――――――――――→ 居住用  (買主の利用目的)     事業用 家族   (居住形態)        単身 存在する (事件建物の有無)     存在しない 大きい  (事件の重大性・残虐性)  小さい 短期   (事件よりの経過年数)   長期 低い   (地域住民の流動性)    高い ※http://www.retio.or.jp/attach/archive/82-118.pdfの図1を引用 以上を踏まえご質問の件を考えると、火災により死者を生じた建物は既に存在しないことから事件・事故への忌避感を薄める要素は認められるものの、ご質問者様の当該不動産のご利用目的が居住であり、火災が発生してからの経過年数が浅く、火災が放火や自殺に因り生じ死傷者も多数に上るなど事件性、重大性あるいは残虐性が認められ、その出来事が地域住民の記憶に残っているような場合には、当該不動産に対し一般的に忌避感を抱き得ると認められ、心理的瑕疵の告知義務があると判断される可能性が高いと考えられます。そのような場合に、宅地建物取引業者が当該不動産において過去に死亡火災が発生した事実を知りながら告知しなかったり、事故物件性の存在を疑わせる事情があったにもかかわらず調査を怠ったようなときや、売主が死亡火災の発生を知りながらその事実を告げず取引が行われたようなときは、契約解除や損害賠償請求が認められる可能性が高いと考えられます。 ご質問内容のみからでは契約の解除や損害賠償を請求できる可能性があるということしか申し上げられません。より具体的に検討される場合は弁護士等へご相談ください。

川西 正樹

経験年数:5年 会社名:
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